翻訳においては、言葉の意味を伝えようとして、言葉の効果を伝えることを失念していることがある。意味が一見曖昧に見えても、効果が合っていれば正確に意味が取れるのである。日本語に長けていないとそれはできない。
現代思想の原典を読むと、彼らが如何に彼らにとって自然な語を用いているか、ということに気づく。自然な語に、それのもつ本来の効果と、はっとさせるような新しい効果の二つを与えているのだ。それは単純に違和感を強調して喚起させるようなやり方ではない。日本語の片仮名を悪く使ってはいけない。
(2012.9.13)