「群衆の中での孤独、歴史の中での孤独と、言うにはいくらでも言い得るでしょうが、なんか甘っちよろい感をいだかせます。芸術上の孤独とは、恐らく大自信の受ける報酬なのでしょうが、この孤独こそは光芒を発するもののようです。
独白ということを追いつめてゆくと、孤独の深い森があり、それは結果としては奇峭でもなく、普遍への道につらなっていることが分りますが、その深い暗い森こそ、大概の人々の住居を拒むような場所にちがいありません。」(草野心平)
私は現代、本当に孤独な仕事というものを見たい。
名も無き学生たちが始めた謄写版刷りの詩誌『銅鑼』を見ると、芸術上の孤独の極北にいる草野心平と宮沢賢治が、孤独でいて、それでいて共にいたことが、無性に心を打つ。
(2012.9.25)